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2022年3月のおススメ

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福田和代

野田さんのご投稿、なぜか三段組?になっているので、コピペしてみました。
読みにくい方はこちらでどうぞ~。

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「護衛艦あおぎり 艦長早乙女碧」

時武里帆 新潮文庫

本作は、女性幹部自衛官のさらに少数派の女性艦長が主人公です。彼女は一般大学卒で江田島の幹部候補生学校に入校し、艦隊勤務を経て練習艦の艦長となります。海幕で5年間の陸上勤務の後、再度艦長として艦隊勤務に就きます。

戦闘艦の新任艦長の引継ぎ、着任式、訓示から初慣熟訓練に出るまでが克明に記された前半部分は、ほぼノンフィクションです。

着任式後、初の慣熟訓練出港直前に「事故」が発生します。WAVE(女性隊員)の1名が未帰艦であることが判明するのです。
WAVEの先任として自ら未帰艦の隊員を探しに行こうとする碧に対して艦隊司令や副長から「戦闘艦の艦長」としての振舞いを求められます。凹みかける碧は江田島の同期であり僚艦おいらせ艦長小野寺二佐からメモを受け取り、最期まで諦めないこと決め、最終的に欠員なしで初出港となるのです。

異なる背景を持つ乗員ひとりひとりに向き合い、艦内を「家族」としてまとめることの難しさ、プロフェッショナルとしての立ち振る舞い、この組織で同期の横の繋がりの強さ大切さが良くわかります。

それにしても終盤まであおぎりは呉港でもやい索がついたままなんです。

出港準備が整い、錨を上げ、もやい索を解き、転進し、出港していく手順が鮮やかで惚れ惚れします。

やっとのことで出港した慣熟訓練中にさらにもうひとつ出来事があり、物語は新たな展開の予感がします。

呉の街の描写がとてもリアルなんです。読みながら何度も「そうそう」って相槌を入れました。

既にシリーズ化が決まっていて、3月28日に続編『試練』がでます。

作者の時武里帆さんは、一般大学卒で幹部候補生学校に入校し、任官後、女性自衛官として初めて遠洋練習航海に参加し、艦隊勤務の経験がある方だそうです。

もしかしたら、私はその遠洋練習航海中に寄港地で時武さんにお会いしているかもしれません。

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