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2022年6月のおススメ

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福田和代

皆さまのおススメ本を、このトピックへの返信として教えてください♪
いちおう、お約束を決めておきますね。

・ひと月に、おひとり一冊まで
・必要な情報は、書名、著者名、出版社名、おススメコメント
 (おススメくださった会員さんのお名前もわかる形で)
・おススメコメントの長さは、800字まで(800字より短いのは問題なし!)
・対象となる本は、書店やネット書店で新刊が手に入るもの(変更しました!)
・ただし、主催者・福田和代の本は除く(笑)
・会員作家さんの本は、ぜひ全力でおススメしてください♪
・締め切り 2022年6月20日(月)

締め切り後、会員の皆様に投票をお願いして、上位3冊をお勧めくださった方に、図書カード5,000円分をお送りいたします。
上位3冊は、おススメコメントとともに、デジタル・ケイブのWebサイトでご紹介させていただきますね!
(同率の場合は……ジャンケンかな!?)

ご応募お待ちしております♪

6件の返信
甲斐荘秀生

『身近な生物のきもち』大島健夫・著、メイツ出版・刊

 

はじめて投稿します。甲斐荘(かいのしょう)秀生と申します。

 

この本の建て付けは、タヌキがインタビュアーになって、カラスやカブトムシ、果てはクヌギの木といった日本に住む人にとって身近な生物に、普段何を思いながら、どんな暮らしをしているかを聞いていく、インタビュー集の体をとっています。

著者・大島健夫さんはネイチャーガイドであり、またポエトリー・リーディングの分野で活躍する詩人でもあります(私も個人的な知り合いです)。ですから専門知識と詩情が融和しており、生態の勉強になるだけでなく、「(人間の感情に表すなら)この生物って、こんなこと本当に考えてそうだな」と思えてくる、「動物・植物の立場」を追体験できる本になっています。

これがシリーズの3作目で、既刊『外来生物のきもち』『希少生物のきもち』もとても面白いので、気になったらそちらもどうぞ。

返信
1 返信
デジタル・ケイブ

甲斐荘さん、ご投稿ありがとうございます♪

返信
三瀬 弘泰

『おもいでマシン』梶尾真治著/新潮文庫nex

梶尾先生のショートショート作品集。

なんと『有機戦士バイオム』から33年ぶりのショートショート刊行です。

約3分で読めるお話しが40編収録されています。

通勤のバス・電車待ちの時間、学校の朝読書などの空き時間にピッタリ。

そう、現代人のニーズに合っているのです。

まさか30年以上の時を経て、令和の生活にマッチするなんて、まさに"SF作家"の想像力は未来を予見する?とまでは言いませんが。

内容もSF、ホラー、コメディに人情、恋に愛憎と多種多様。

『しんえんくん』というお話しはニーチェの文言から落語的大転換とカジシン節の真骨頂!

梶尾先生は『黄泉がえり』『サラマンダー殲滅』『ダブル・トーン』など長編も良いですが、このショート・ショートにこそ著書のエッセンス(真髄)が凝縮されていると思います。

1日一話読んでも40日楽しめる。

一気に読んでお気に入りを再読してみるのも読み方としては面白いかもしれません。

ちなみに今は"超短編"という呼び方で表記されてました。

ジャンルの再生。

これも一種のリブートなのかもしれませんね。

ぜひあなたの"お気に入りの一篇"を見つけてみてください。

返信
Ito

荻原浩『楽園の真下』文藝春秋

 

おかーちゃんが子どものころはバッタ追いかけて蝶々つかまえてザリガニ釣って遊んでたわあ。
そういうと、娘から

「いつの時代の人間だ、どこの野蛮人だ?」

という目で見られます。いまどきの中学生はそもそも虫なんてさわるどころか見る機会もないんだそうです。コオロギさえも見たことないって。

うわあ、時代だわあ。

そのわたしでも、ちょっとカマキリは。あれはちょっと、あんまり触らなかったです。だってなんか顔がこわいでしょう。うかつに手をだしたら、あのカマでシャッと切られて痛いし。
体の中からにょろーっと変な黒いヒモみたいな物体が出てくるのも、気色悪かったですね。カマキリが死んでも、ヒモはにょろにょろ動いてる。
やっぱり気色悪っ。

そんなカマキリが巨大化するんですよ、この本では。
うっわー!
わっさわっさと群れで人を襲ってくるんですよ。
うっわー!!

巨大カマキリに食い殺される。なんてえげつない。さらにさらに、あの気色の悪いヒモ。カマキリの体内にいるハリガネムシ。あれがなんと・・・・・・っ。
もうこわくて面白くて一気読みしたあと、はあーっとため息ついて
「こんなんわたしも書いてみたいわあ」

としみじみ表紙のカマキリを見つめるのでした。

ちなみに娘にも貸したら
「カマキリ、おもしろいわ、カマキリ!」

と、これまた一気読みしております。
「読む手がとまらんねん、こんなん初めて!」

だそうで。それはヨカッタ!!

 

というわけで今回わたしのオススメは「楽園の真下」でございます。

返信
尼野ゆたか

尼野ゆたかです。前々回投稿した塩野七生「マキアヴェッリ語録」に続けて投稿するつもりが前回のものに間に合わず、今回という形になりました……気が向いたら見比べて頂けると幸いです。

書名:歴史とは何か
著者名:E・H・カー 翻訳:清水幾太郎
出版社名:岩波書店

おススメコメント:

前々回のオススメ本として取り上げた塩野七生「マキアヴェッリ語録」の中には、以下のような文章も見られます。

「国家を維持していこうと望む者は、自国民を武装させ、自国民による軍隊を持たねばならない」
「現代(十六世紀)の君主や共和国で、戦いに訴えねばならない場合に、自国民からなる軍隊をもっていない指導者や国家は恥じてしかるべきである」

これについて、光文社古典新訳文庫「君主論」を読みますと、マキアヴェッリが生きたフィレンツェ共和国では、モラルにも能力にも問題がある軍事力を傭兵に依存していて、そこへの問題意識から上記の言葉が生まれたことが分かります。

この現代日本と全く異なる前提を塩野七生は説明せず、ただ言葉のみ引用しています。その「語り方」により、現代(二十一世紀の日本)に生きる我々にはある種の方向性を持った認識が与えられる仕掛けになっています。1988年の初版時には更にそうだったことでしょう。

このような「手法」について、歴史学の分野では既に取り上げられてきました。
主たる書籍が、イギリスの歴史家E・H・カーによる「歴史とは何か」です。

本著でカーは「歴史を学ぶには、歴史家を学ばねばならない」と語っています。
「いかなる事実に、また、いかなる順序、いかなる文脈で発言を許すかを決めるのは歴史家なのです」とも、「歴史家は必然的に選択的なものであります」とも。

カーの金言として知られ、本著でも繰り返し説かれる「歴史とは、過去と現在の対話である」という言葉があります。
対話故に、こちらの語りかける言葉次第で、相手の返答も変わってくる。歴史を考えるにあたっては、心に刻んでおかねばならない事実でありましょう。

カーは歴史家と小説家を峻別しており、塩野七生の本に用いるのはどうかという向きもあるかと思います。しかしその二つがともすれば同じ枠組みで語られる現代において、大変重要な考え方ではないかと僕は思うのです。

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