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2022年2月のおススメ

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デジタル・ケイブ

皆さまのおススメ本を、このトピックへの返信として教えてください♪
いちおう、お約束を決めておきますね。

・ひと月に、おひとり一冊まで
・必要な情報は、書名、著者名、出版社名、おススメコメント
 (おススメくださった会員さんのお名前もわかる形で)
・おススメコメントの長さは、800字まで
・対象となる本は、書店やネット書店で新刊が手に入るもの(変更しました!)
・ただし、主催者・福田和代の本は除く(笑)
・会員作家さんの本は、ぜひ全力でおススメしてください♪
・締め切り 2022年2月20日(日)

締め切り後、会員の皆様に投票をお願いして、上位3冊をお勧めくださった方に、図書カード5,000円分をお送りいたします。
上位3冊は、おススメコメントとともに、デジタル・ケイブのWebサイトでご紹介させていただきますね!
(同率の場合は……ジャンケンかな!?)

ご応募お待ちしております♪

5件の返信
藤井 博子

最近、こちらのコミュニティに参加させて頂きました藤井でございます。

普段は会社員で、変わりなき毎日ですが、当たり前の毎日の幸せを大切にしたくなる一冊をご紹介いたしたいと思います。

 

『独裁者ですが、なにか?』 著者:荒木源 出版社:小学館文庫

主人公の名前は「ジョンウィン」

表紙をご覧になると、どっからみても「北の将軍様」

ジョンウィンはミサイルの発射ボタンを押す作業に勤しんでいた。 彼にだけ許された髪型。彼にだけ許された独特の拍手。 ・・・はたして、独裁者は幸せなのか。

周りは称賛しかせず、都合の悪い事は報告せず、疑心暗鬼にしかならない。
少しでも疑いがあるものは我が権力で消してしまう。

そんな彼の心の拠り所となったのは、ヤップランドから取り寄せたお話AIロボット。
話しているうちに、それは異母兄弟のジョンナムールではないかという想いにかられる。
ジョンナムールだったら自分の事は話すべきではないと薄々、気が付きながらも次第に心を開いていく。

ジョンウィンは自ら独裁者になった訳でもなくその星の下に生まれてしまった。
我が国がダッサダサなんてことはとっくに気が付いているけれど、他のやりようが見当らない。
だってそんな風に育てられてしまったのだから。

本当は、本当は、自由な国で自由な思想を持ったジョンナムールが羨ましかった。

兄弟で争うなど、戦国時代でもないのに。
独裁者もひとりの人間であったとしたら、存命の間に方向性を変えられないかな。
でないと明るい未来は見えて来ない。この小説のラストがそうであるように。

 

返信
三瀬 弘泰

『大日本帝国の銀河』①~⑤

昭和11年、大陸で日本と世界の緊張が増すなか満州の海軍技術研究所で奇妙な電波を受信する。それは宇宙の彼方、オリオン座から発信されていた。

それから4年、空想科学小説家にして天文学者の秋津俊雄は海軍からの妖精を受け、とある人物と面会することに。

面会者は"火星太郎"と名乗りその名の通り火星からやって来たという。

そのころ欧州各地では戦火が拡大し混乱が増していた。そんな状況のなか、未知の四発爆撃機がドイツ、イギリス、ロシアなどの国に出現。見た目は既存の戦闘機だが遥かに現行機を凌駕する性能を見せつける。

彼らはオリオン集団と自らを呼び、各国へと接触をしてきた。

彼らは対話できるが通常の常識が通用しない。

いったいオリオン集団の目的はなんなのか?

侵略?友好?まったく正体不明の集団に対して日本は?世界は?どうするのか?

このたび五巻で見事に完結したこちらの作品をオススメします。

前作『星系出雲の兵站』ではガイナスという対話も意志疎通もできない敵とのミステリアスな攻防が描かれました。

今作では"対話はできても話が通じない"というまた一癖も二癖もある相手が登場します。

ネーミングもオリオン太郎にオリオン花子、オリオン・イワンとかレトロ感あり。

しかしそんな懐かしさとは裏腹に物語はどう転がっていくのか全然予想がつきません。

実際の史実とは異なった歴史を紡いでいく、いわゆる『改変歴史もの』とよばれるジャンルになります。

でも本来の歴史的事象が違った経緯を経て同じように起こったりするのは見所のひとつと言えるでしょう。

あきらかに当時は無かったら技術などを登場させるストーリー創りはお見事でした。

あととても読みやすい!スルスル読めます。歴史のことを知らなくても大丈夫です。

私はむしろここからいろんなこと調べて詳しくなりました。これは読書の良いところですね。

ラストは圧巻のスケールでさすが林先生!と思うこと間違いなし!

謎もキチンと解明されてました。素晴らしい!

1巻刊行から約1年で完結巻まで出してしまうところも読み手としては嬉しいですね。

こちらも装丁画は出雲と同じReyHoriさん。

当時の兵器と近未来造形物をカッコ良く描いてます。

またお二人のトークイベントをお願いします!

 

返信
尼野ゆたか

「マキャヴェッリ語録」

著:塩野七生

出版社:新潮社

 

マキャベリの著作は色々訳されてますが、当時の情勢を踏まえて書かれているので、

「このメディチさんはどのメディチさんだ……」みたいになって中々大変です。

 

そこでお薦めなのがこちら。

流石の塩野七生さん、読みやすくマキャベリの理論のエッセンスが味わえます。

 

 

 

「人間には、怖れている者よりも愛している者のほうを、

容赦なく傷つけるという性向があるからだ」

「謙譲の美徳をもってすれば相手の尊大さに勝てると信ずる者は、

誤りを犯すはめにおちいる」

「人間というものは、必要に迫られなければ善を行わないようにできている」

など「マキャベリズム」のイメージ通りな文章が山盛り出てくる一方で、

 

「市民には、なんのおそれもなく告発権を行使できる体制を、整えてやる必要があるのだ」

「誰からの制約も受けない権力の存在は、それがいかに聖人の手にゆだねられていようと、

国家の利益になることはない」

といった感じで、実に正道の政道(押韻)を説いていたり、

 

「大国の指導者たちとなると、一致団結することからしてまずむずかしい。

またたとえそれを実現できたとしても、団結を維持しつづけるのが、これまたひどくむずかしい」

「長期にわたって支配下におかれ、その下で生きるのに慣れてしまった人民は、

なにかの偶然でころがりこんできた自由を手にしても、それを活用することができない。

活用する術を知らないのだ」

など現代にも通用する鋭い洞察も。

(女性の位置づけが前時代的ですので、そこは注意が必要です)

 

 

 

僕が好きなのは、

「今日きみが享受している、恋することによって得る喜びは、

明日になればもう受けられないものなのだよ。

それを受けているきみは、わたしにすればイギリスの王よりもうらやましい」

でしょうか。天下国家の話を離れた、人間マキャベリの姿が垣間見えます。

 

 

 

更に興味が出た方は、光文社古典新訳文庫の「君主論」を。

そのメディチさんがどのメディチさんかなど、脚注も充実してます。

返信
吉村弥恵

『ニワトリと卵と、息子の思春期』 繁延あづさ著(婦人之友社)

 

本書はタイトル通り、思春期を迎えた息子がニワトリを飼う日々を綴ったノンフィクションだ。しかし最後の一文を読んだとき、登場する家族に予め用意された物語のように思えた。 

東京から長崎に移住し、自然豊かな土地で子育てをする筆者には、夫と三人の子供がいる。

ある朝に放たれた、六年生の長男の「お母さんが何と言おうと、オレは放課後ゲームを買いに行く!」という宣言が、ニワトリをめぐる家族の物語の始まりだった。

「お母さんがなんと言おうと」ここが長男の反抗のキモである。ゲーム機は金で買える。子どもであろうと、コツコツ貯めた小遣いさえあれば簡単に手に入る。でも反抗の朝まで、彼にとってその行為は「親の許可を得ること」とセットだったのだ。

筆者の親としての立場が揺らいだ瞬間でもあった。

ところが帰ってきた長男は言う。

 

「ゲーム買うのやめるからさ、代わりにニワトリ飼わせて」

 

なんでそうなるのだ(経緯はぜひお読みください)。

そこから長男は、「ニワトリ飼育計画書」を作成し、飼育環境を整えるべく近所の人々を懐柔し、ひよこを得て、飼育、採卵、卵の販売と、図太く賢く、すこぶる身勝手に成長していく。その反面で「どう親であり続ければよいのか」と思い悩む筆者の葛藤が、実に身近に感じられる。とあることで謝らない長男を屈服させたくて、「謝らないなら、お小遣いあげない!」と言うシーンは身につまされた。

優位を利用して、全く関係ないことを取引材料に使う。親子どちらの立場でも、経験ある方は多いのではないだろうか。

 

飼っているニワトリはペットではない。最初から「経済動物」であり、いつかは屠って食べることが目的である。少なくとも長男にとってはそうだ。でも、弟、こと幼い妹には、別の風景として見えていて、写真家でもある筆者のカメラがそれを捉える。それがなんとも愛おしく、この本の魅力の一つだった。

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