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12月のおススメ本


デジタル・ケイブ

皆さまのおススメ本を、このトピックへの返信として教えてください♪
いちおう、お約束を決めておきますね。

・ひと月に、おひとり一冊まで
・必要な情報は、書名、著者名、出版社名、おススメコメント
 (おススメくださった会員さんのお名前もわかる形で)
・おススメコメントの長さは、800字まで(800字より短いのは問題なし!)
・対象となる本は、書店やネット書店で新刊が手に入るもの(変更しました!)
・ただし、主催者・福田和代の本は除く(笑)
・会員作家さんの本は、ぜひ全力でおススメしてください♪
・締め切り 2022年12月20日(火)

締め切り後、会員の皆様に投票をお願いして、上位3冊をお勧めくださった方に、図書カード5,000円分をお送りいたします。
上位3冊は、おススメコメントとともに、デジタル・ケイブのWebサイトでご紹介させていただきますね!

ご応募お待ちしております♪

4件の返信
藤井博子

大阪芸術大学 通信教育部 文芸学科 藤井博子と申します。

『ある特別な患者』Ellen de Visser サンマーク出版

医師、看護師、臨床心理士、獣医など、人や生き物に寄り添い救うことを生業としている方々は、心に一定のバリアを敷いているはず。

職業柄、毎日のように、目の前で悲しいことが起きていて、一人一人の患者に寄り添っていては、自分が潰れてしまう。

治る病気……例えば外科なんかだと希望が見える。
ですが、予後が見えていて、先行きが真っ暗ならば、最終的な目的が治癒であるという医学の根底が崩れる。すると、治療者は無力感にさいなまれるかもしれない。

こちらの一冊は、医師だけではなく、看護師、臨床心理士、法医学者、獣医など、人や動物に寄り添う事を生業としている方々の告白が89話。

目の前の患者に救われ、教えられた。つまり、心のバリアを突破してきた患者に出会った体験談。

医療従事者である前に一人の人間であることが垣間見える。

メディアで伝えられるのは、あちこちで人と人が争い、己が一番になると競争しては、他人を蹴落とすことばかり考えている人たちばかり。「この世界は魑魅魍魎か」「もうニュースは観たくない」と感じることはございませんか。

そんな毎日の中でも、
「人っていいなぁ」と人を信じる気持ちを取り戻してくれる一冊です。

返信
尼野ゆたか

書名:蔵書の苦しみ

著者名:岡崎武志

出版社名:光文社(光文社新書/光文社知恵の森文庫)

おススメコメント:

「部屋にいるとギギギギ、ギィー、ギギギギ、ギィーって音がする」ようになった。(中略)その瞬間に、床がズルズルっと傾いていって、ドッカーンと落ちたんですね」
 文中で引用されている文章。何かというと、井上ひさしの仕事場の床が本の重みで抜けた瞬間を綴ったものです。ひどいひどすぎる。

 

デジタル・ケイブの会員さんに「引っ越しで泣く泣く本を処分した」という方がいらして、思い出した一冊です。
タイトル通り古今の蔵書家の例を集め蔵書がもたらす苦しみを描いた本なのですが、もう出てくるフレーズがいちいちパワーワード過ぎて。「蔵書が家を破壊する」「蔵書のために家を建てました」「二千冊減らしてもビクともしない」「万年床のみが生活の場」「燃えたらすっきりする」「母親が『本に殺されるぅ!』って言うくらいですから」「年間二十万円が本の保管に消えていく……」などなどきりがない。

 

幾多の書籍で磨かれた故に蔵書家の悲喜こもごもは名言を生むわけですが、とびっきりのものを二つほど。
一つが永井荷風。彼は大正九年に建てた木造二階建ての洋館「偏奇館」で、沢山の蔵書と共に暮らしていたのですが、1945年の3月10日東京大空襲で被災しました。
周囲の家よりも一層赤々と炎を上げる自宅を見上げながら、荷風は「これ偏奇館上少なからぬ蔵書の一時に燃るがためと知られたり」と綴るのです。格調高く美しい……。

もう一つが評論家・谷沢永一にまつわるエピソード。川西市に住んでいた彼は阪神大震災で被災。十三万冊を超える蔵書を収めた書庫が「踏み込むこともできない危険にして乱雑きわまる打撃」という状態になりました。それを新聞に載せたところ、かの司馬遼太郎が速達で連絡をくれたのですが、その書き出しが「いのちを掻きまわされたようなものでしょう」。何かを集める人なら直観的に理解できる感覚ではないでしょうか。何だかんだ流石だな司馬遼太郎と唸った次第です。

返信
吉村弥恵

『いらねえけどありがとう いつも何かに追われ、誰かのためにへとへとの私たちが救われる技術』村井理子著(CCCメディアハウス)

 

「#いらねえけどありがとう」は、村井さんが高齢の義父サブちゃんから、いらぬ品物や心配や取り越し苦労なんかを受け取ったときに、ツイッターで使うハッシュタグ。

本作には、誰かをケアする立場の人ならわかる、あらゆる「いらねえ」を受け流し、自分の機嫌は自分でとり、「けどありがとう」と言えるだけの「メンタル黒帯」免許皆伝ライフハックが記されている。

 

村井さんの既刊『兄の終い』や『全員悪人』を読んでいる、いちファンとしては、明るく笑い飛ばすまでの道程を覗かせてもらっているだけに、わかるわかるわーと頷きながら、「現状には必ずそこに至る背景がある、過去がある」の一文にぐっときてしまう。「他者が理解できないときは、背景を探り」愛おしく思えたら、「けどありがとう」と言えるのだろう。

 

未熟者の私には、簡単なことではないけれど!それでも白帯メンタルをうっすら色づかせるべく、献立に悩んだらピザをとり、来る年末は「小そうじ」で迎え撃ち、対人関係で揺れたら「自分が思うよりずっと、思いやりのある人は多い」ことに気づいて、どうしようもない時はふて寝しよう。そうしよう。

 

そして起きたら、離れて暮らす家族に電話して、美味しいものを送ろう。血のつながった家族を皆亡くされた村井さんからの「死んでから感謝撲滅委員会」の言葉は重い。

死んでから何を言っても、故人に聞こえやしないのだ。

自分も周りも、生きているうちに大切に。

この当たり前のメッセージが、世界的にも激動の一年だった今年の締めくくりに広く伝わってほしいと思う。

返信
三瀬 弘泰

『火狩りの王』日向理恵子著/角川書店

タイトルの雰囲気と装丁画が『十二国記』の山田彰博さんだったので、勝手に異世界ファンタジーだと思い込んで読み始めました。

人々は黒い森が生い茂り、炎魔と呼ばれる存在に脅かされ、結界を張った地域でのみ細々と生きるのみ。
しかも体が自然と発火する現象にも怯える日々。安全な火は炎魔を倒した時に得られる炎のみ。
その火を狩るのが火狩りと呼ばれる特殊な技能を持った者のみ。
主人公はその火狩りから命を助けてもらった少女、名は灯子。
灯子を助けた火狩りはその時に命を落とす。
火狩りには相棒として戦闘の補佐をする犬を連れている。
灯子は火狩りの形見となった犬、かなたを首都に届けるために首都への貢ぎ物を載せた回収車に乗り、苦難の旅に出る。

あらすじはこんな感じです。
これだけ読むとやっぱり異世界ファンタジー。
しかし登場する車にエンジンが付いてたり、工業製品などがあったり。
名言はされていませんが、遠未来の世界らしいです。
炎魔も最終戦争の産物っぽい描写が。
なんかSFっぽい背景が見え隠れしています。
こういった"ほのめかし"が大好きな私は一気に読み進めてしまいました。

もともとほるぷ出版から刊行され、すでに本編4巻と外伝1巻で完結しているようです。
今回は劇場映画化とほるぷ出版さんに文庫のレーベルが無かったのでKADOKAWAさんが文庫にされたようですね。

これから映画公開に向けて続巻も刊行されるので続きを楽しみにしてます。

映像化にもなるこの機会にオススメします。

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