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2021年12月のおススメ


デジタル・ケイブ

皆さまのおススメ本を、このトピックへの返信として教えてください♪
いちおう、お約束を決めておきますね。

・ひと月に、おひとり一冊まで
・必要な情報は、書名、著者名、出版社名、おススメコメント
 (おススメくださった会員さんのお名前もわかる形で)
・おススメコメントの長さは、800字まで
・対象となる本は、この半年くらいに出版されたもの
・ただし、主催者・福田和代の本は除く(笑)
・会員作家さんの本は、ぜひ全力でおススメしてください♪
・締め切り 2021年12月20日(月)

まだ投票のやりかたを考えておりませんが、月末くらいに会員の皆様に投票をお願いして、上位3冊をお勧めくださった方に、図書カード5,000円分をお送りいたします。
上位3冊は、おススメコメントとともに、デジタル・ケイブのWebサイトでご紹介させていただきますね!
(同率の場合は……ジャンケンかな!?)

ご応募お待ちしております♪

8件の返信
オガワメイ

オガワメイです。参加させていただきます。よろしくお願いします。

書名:アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険
(著者:宮田珠己/画:網代幸介/出版社:大福書林 2021.10.10)

<おススメコメント>
 私がこの本を知ったのは装画を担当された網代幸介さんの個展です。
 いいなあと思って手にしたのですがちょっと高かった(2,750円もする)のでその日は諦めて、図書館でリクエストを出して読みました。これが想像以上に面白かったので、結局買いました。

 著者は旅エッセイなどを手がけていらっしゃる宮田珠己さん。

 苔を愛でながら地味な暮らしをしているアーサー・マンデヴィルのところに、教皇から呼び出しがかかるところから物語スタート。亡き父、ジョン・マンデヴィルが書いた『東方旅行記』(←実在)を読んだ教皇から、プレスター・ジョンの王国を探すように命じられます。しかし、アーサーの知るところでは、父は東方などへは旅をしたことがなく、これはうそっぱちの旅行記。

 結局断れず、アーサーは、弟と、使いの修道士の三人で、存在するはずのない王国を探すために旅立ちます。

 道々で、父の旅行記をなぞるような奇妙な体験をし、命の危機にさらされながら、一行は旅を続けます。

 果たして、プレスター・ジョンの王国は見つかるのか!

 ユーモラスな展開と、終盤加速する馬鹿馬鹿しさに、心がくすぐられるような感覚があります。

 さらに、この本には網代幸介さんが描いた絵巻物? がついています。網代さんは、小さい頃から自分の中にある世界(通称・アジロ王国)をこの世に紹介する唯一の表現者。網代さんの描く絵は言語・宗教・歴史に至るまであちらの世界のもの。宮田珠己さんの世界観にどう合わせてくるのか? と、これが、まるでこの冒険譚がアジロ王国の出来事であったのかと錯覚するほど調和します。

 大島依提亜さんの装幀も相まって、この本全体が胡散臭い旅行記のようなのです。

 まだの方、ぜひ読んでみてほしいです。

返信
1 返信
福田和代

オガワメイさん、ご投稿ありがとうございます!(^^)

返信
尼野 ゆたか
尼野ゆたかです。前回に続き参加いたします。よろしくお願いします。
 
書名:陰陽師の解剖図鑑
著:川合章子 イラスト:ほしのちなみ 出版社:エクスナレッジ

先日のイベントの帰り道、参加された会員様から小説の参考文献の探し方について質問して頂くということがありました。

自分は素人でもそのテーマをざっと把握できる本を読み、その本の参考文献から読んでいくという「学部生かよ!」みたいなやり方を軸にしています。
参考にしてよい書籍かどうかを辿るにあたって手堅いやり方だからなのですけど、
信頼性で言うなら、たとえば日本史だと吉川弘文館様やミネルヴァ書房様など、お名前で安心して手に取れる出版社様はやはりあります。
勿論他にも信頼の置ける出版社様は沢山存在しますが、今回は幅広いテーマを扱っているという点からエクスナレッジ様を紹介します。
建築系の雑誌や書籍を取り扱う出版社であるエクスナレッジ様ですが、一方で「解剖図鑑」というシリーズを発売してらっしゃいまして、
宝塚歌劇団から日本の装束まで、百人一首からメンズファッションまで、その筋の専門家を起用し、分かりやすく解説されています。
その中から、今回は今年の8月に刊行された「陰陽師の解剖図鑑」を。エクスナレッジ様といえばTwitter上で営業様の宣伝ツイートがしばしば爆発的にバズることでも有名で、この陰陽師の解剖図鑑の宣伝もバズっていたので、見かけたという方ももしかしたらいらっしゃるかも。
陰陽師の歴史を概観しつつ、安倍晴明や蘆屋道満のような有名どころをピックアップし、更には周辺の知識も押さえるという充実の構成ですが、ふんだんにイラストを使用して読みやすく記述しつつ、なおかつ150ページ以内にまとめるという見事さには感嘆させられます。
歴史の荒波に翻弄されつつも必死で生き延びる姿、つまり歴史上における陰陽師の本当の姿を浮き彫りにしつつ、平安京の怨霊や安倍晴明の伝説にも触れて読み物としての楽しさにも留意するバランス感覚など、小説での「リアリティ」と「架空」の配分の参考になるなあとも。
エクスナレッジ様、要注目ですよ~。
返信
1 返信
福田和代

尼野ゆたかさん、ご投稿ありがとうございます!(^^)
エクスナレッジ!

返信
三瀬 弘泰

オススメしたい本だらけの三瀬です♪

今回はSFを紹介します。

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』アンディ・ウィアー著/早川書房

『火星の人』(映画化名"オデッセイ")で火星サバイバルを描いた著者の最新作!

昏睡状態から目覚めた主人公は記憶喪失のまま宇宙船に乗っていることに気がつく。

徐々に記憶が覗く甦り、自身が地球の危機を救うために太陽系を飛び出したクルーの1人であることを思い出す。

なんと地球は謎の宇宙生命体によって太陽のエネルギーが奪われ氷河期になる危険に!

宇宙船<ヘイル・メアリー>号にて目的地クジラ座タウ星系を目指すなか同じく故郷を救うためにやってきた異星人と遭遇!

彼らは自分たちの惑星を助けることができるのか!?

星系規模の危機!

異星人とのファーストコンタクト!

前半は記憶を取り戻すミステリー調。

後半はSFギミックがこれでもかと投入されます。

ラストは溜め息をつくような満足感。

読後感はジェイムズ・パトリック・ホーガンの『星をつぐもの』に匹敵しました。

2021年12月に発売ですが最後にこんな傑作を刊行するとは!

今年の早川書房はスゴかったが締め括りはもっとスゴかった!

SF好きにはもちろんミステリファンや工学ファン、人間ドラマが読みたい人にもオススメ。

ビル・ゲイツが今年の5冊に選んだのも納得の一冊です!

返信
1 返信
福田和代

三瀬さん、ご投稿ありがとうございました!

返信
村田秀人

村田です。
今月私が紹介するのはこれ。

書名 Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか』
作者:川添 愛
出版社:東京大学出版会
初版:2021年7月21日

 サブタイトルにあるダチョウ倶楽部さんの鉄板ネタをご存知でしょうか?
本編では割とあっさりと流されているこの内容を、私なりに説明いたしますとこうなります。
 AlexaでもSiriでもGoogleアシスタントでも結構ですので、お手持ちのスマートスピーカーに指示通りに動作するアクチュエーターとしてロボットハンドが接続されているとします。ここに熱湯風呂を準備して、上島竜兵さんにまたがっていただき、その後方に先程のロボットハンドを設置いたします。では上島さんに指示を出していただきましょう。
「絶対に押すなよ!」
さて、何が起きるでしょうか。
たぶん何も起きませんよね。優秀なAIですが結果としてこのロボットがとった行動は間違いということがわかります。
 上島さんの命令は「押すなよ」→「押してくれよ」に翻訳→ロボットハンドが上島さんを熱湯風呂に落として正解なのですが、人間だったらその意図を簡単に推測できるのに、囲碁や将棋で名人をも凌駕するAIをもってしても、何故このようなことが起きてしまうのか不思議ですよね。
そう、この本の大きなテーマは、このような「言葉の不思議」です。

 『自動人形の城』で「人工知能」と「人間の言葉」の理論を小説という形式に乗せて読者をファンタジーの世界に誘った著者が、今作では「人間の言葉の不思議」を、プロレス、お笑い、漫画、歌、映画、チェコ語、将棋という趣味全開のエッセンスを交えながら読者に提示するエッセイ集です。(プロレス成分多め)

 タイトルの「バーリ・トゥード」は、ポルトガル語で「なんでもあり」を意味する格闘技ファンにはよく知られる言葉ですが、文字や言葉にあふれるこの世界で、人間の言葉の伝わらなさに敏感に反応する言語学者が、日々どのような思考を巡らせているのかが垣間見える熱い16編は、まさにバーリ・トゥードとなっています。

返信
1 返信
福田和代

村田さん、ご投稿ありがとうございます!

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