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2021年11月のおススメ

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デジタル・ケイブ

皆さまのおススメ本を、このトピックへの返信として教えてください♪
いちおう、お約束を決めておきますね。

・ひと月に、おひとり一冊まで
・必要な情報は、書名、著者名、出版社名、おススメコメント
 (おススメくださった会員さんのお名前もわかる形で)
・おススメコメントの長さは、800字まで
・対象となる本は、この半年くらいに出版されたもの
・締め切り 2021年11月20日(土)

まだ投票のやりかたを考えておりませんが、月末くらいに会員の皆様に投票をお願いして、上位3冊をお勧めくださった方に、図書カード5,000円分をお送りいたします。
上位3冊は、おススメコメントとともに、デジタル・ケイブのWebサイトでご紹介させていただきますね!
ぜひゲーム感覚で楽しんでいただければ♪ 

5件の返信
尼野ゆたか
尼野ゆたかです。先日のオンライン飲み会で紹介した本ですが、ほんと一部分だけだったので改めて紹介してみます。
 
 
書名:後悔するイヌ、嘘をつくニワトリ 動物たちは何を考えているのか?
 
著者名:ペーター・ヴォールレーベン 訳・本田 雅也
 
出版社名:早川書房
 
 
おススメコメント:
 

実家で犬を飼っていまして。僕が帰る度に尻尾をぶんぶん振って飛びついてくれます。
ああ、本当に喜んでくれてるんだなあと思っていたのですが、それはちょっと甘かったのもしれません。

犬は言いつけを守れず飼い主に叱られた時、後悔と反省の表情を顔に浮かべます。
そこである科学者が、実験として言いつけを守れた犬を飼い主に叱ってもらったところ、犬はやっぱり同じ表情をしたそう。
結論として示唆されるのは、「犬は、叱られている場面で飼い主が期待する表情を後天的に学んでいるのでは?」という事実。
!? それって打算であって後悔ではなくない!? タイトル詐欺!?
実家の犬も「このたまに来るひょろい人間は、尻尾を振ってみせればキャベツをくれる。ちょろいものよ」とか思ってるの!?(※実家の犬はキャベツが大好き)

そんな感じで、この本は「動物達の考えていること」を教えてくれます。
相方の隙を見て浮気する鳥もいれば、ずっとつがいを変えない(たとえ相方が撃たれて死んでも!)鳥もいる。
労働に喜びを見出す馬、他の仲間が冬のために埋めた餌を奪うリス(そのため、リスの中には他の仲間が見ていることに気づくと餌を埋めたように偽装する種もいるそう)。
科学的な事実と筆者の経験とを元に語られる動物の内面のゆたかさ、多様さには驚くばかり。

筆者の視線には動物への愛情が溢れていますが、一方で犬猫の品種「改良」や、餌やりを前提として育まれる関係の正当性など、ペット愛好家が思わず目を背けがちな点にもしっかり向けられています。
手放しで動物を天使扱いせず、一方で「犬っころ」みたいに見下すのでもなく、尊重しているのですね。なるほどと考えさせられました。

ちなみに筆者は、冒頭の「後悔するイヌ」についても「申し訳なさを装っているとは言い切れない」と助け船を出してくれています。
はてさて実家の犬の本音はどこにあるのやら。今度帰った時はよくよく観察してみなければ。(799文字)

返信
山崎功史

早川隆(筆名)です。先日は伊東潤先生による冒険時代小説の傑作「男たちの船出」をご紹介いたしましたが、今回は、大本命「ディープ・フェイク」を紹介します。私は書評や感想を記すことがとても苦手で、内容チープで稚拙で誠に申し訳ない限りなのですが、作品本来の魅力の、せめて半分程度でも皆様にお伝えできておれば誠に嬉しく思います。

 

 

書名:ディープ・フェイク

著者名:福田和代

出版社名:PHP出版社

 

おススメコメント:

私は黎明期からのインターネット業界出身者であり、しかもここ数年は、ソーシャルメディア上における風評被害対策やら炎上対策やらにも関わり、かなりこの作品のテーマに近いところでのリアルな事例を見聞きしてまいりました。しかしいずれの事例も、煎じ詰めればかなり単純な動機や安直な思い込み、勘違いなどに起因するものが多く、小説のプロットにそのまま使えるような、徹底的に邪悪だったり、巧緻だったりするものは少なかったように思います。

ところが、この作品で語られるトラブル(というか一方的な攻撃)は、あまりにもリアルなため、明日にでも現実に起こってしまいそうな気がします。いや、それのみならず、他ならぬこの我が身に降りかかってくるような気すら・・・!

作者の福田和代先生は、持ち前の徹底したリサーチ力を存分に発揮し、異様に生々しい「悪意の世界」を描き切りました。それは、アナログな悪意がデジタル化され、匿名化されることにより発生する、あまりにも現代的な恐怖であるわけですが、しかしそうした悪意を駆逐するのは、つまるところ生身の人間同士によるアナログな信頼と紐帯であるという部分に、この作品の今日的な価値があると思います。

怖い小説ですが、読み終えたあと、どこか満たされた気分になるのは、作者の、こうしたポジティブな「人間に対する信頼」があるからでしょう。おすすめです!

返信
三瀬弘泰

三瀬弘泰です。

私が紹介するのは『虚魚(そらざかな)』新名智著/角川書店です

今回の横溝正史ホラー&ミステリ大賞受賞作になります。

今年はいろいろな読書会に参加したおかげで普段は読まないジャンルをたくさん読みました。

そのなかでもホラー小説は例年の10倍ちかく読みました。

この作品もそんななか読みましたが別格でした!

二人の女性を中心にお話は進みます。

一人は"体験した人が死ぬ怪談"を探している怪談師の三咲。

"呪いか祟りで死にたい"カナちゃん。

三咲が探してきた怪談をその場所でカナちゃんが実践して検証。

そんな利害の一致で共同生活をする二人に"釣った人が死ぬ"という『虚魚』という話が舞い込む。

正否を探るために二人は怪談がどのように伝播してきたかを現地で聞き込み辿っていく。

その先にあるのはホンモノ、それとも…。

フィールドワークで調査する姿と怪談の非現実感がストーリー展開で『嘘?ホント?それとも?どっち????』と読者を翻弄していきます。

新人作家さんのデヴュー作なんですが話作りはしっかりしてますし、緩急のつけかたもテンポが良くて読みやすかったです。

"都市伝説"ホラーなんですが読んでるうちに『あなたの知らない世界』とか思い出したりして現代の恐怖物語変遷を考えたりと知的な好奇心も刺激されました。

そして一番のキモ。

『この怪談はホントウなのか?』

それは読んであなたが確かめてください。

  • 読んだあとに"釣り"をする時はご用心…。
返信
水野さちえ

水野さちえです。皆さまのおススメコメントに「いいね!」って連打したくなっております。私が紹介したい本は...

・書名:目の見えない白鳥さんとアートを見にいく

・著者名:川内有緒

・出版社名:集英社インターナショナル

・おススメコメント:

ノンフィクション作家の川内有緒さんが、全盲の美術鑑賞者、白鳥建二さんや友人たちと、全国各地の美術館やアートスポットを巡るお話です。

「目が見えない人が美術作品を『見る』って、どうやって?」と思いますよね。白鳥さんの鑑賞スタイルは、目が見える同行者に「なにが見えるか教えてください」と聞き、同行者たちの言葉を通じて「見る」というものです。

見る作品は現代アートから印象派、仏像まで幅広く、同じ作品の前にいても、同行者たちの見かたや感じかたはさまざまです。白鳥さんと一緒に見るとき、皆さん割と直感的に、ポコポコと言葉を発します。見かたの違いを面白がったり、「いかに見えていないか」という気づきを得たりもします。印象派の作品展をアテンドした美術館スタッフは、白鳥さんと見ることで初めて、それまで何度も見てきたはずの作品で描かれているものが、「湖」ではなく「原っぱ」だと気づいたといいます。

鑑賞の記録だけでなく、白鳥さんや川内さんの人生の振り返りや、障害のこと、差別のこと、日々のできごとなど、話はあちこちに飛んでいきます。読みながら「え、次はどこに行くの?」と、一緒に旅をしている気持ちになりました。とても軽やかに読めます。白鳥さんがなぜ美術鑑賞者になったのかも、徐々に明らかになっていきます。

話はあちこちするものの、私は直球の問いを受け取りました。「あなたは何を見ていますか?」という問いです。読後2か月ほど経つ今も、時々ぼんやり考えます。もちろんこれは受け取りかたのひとつにすぎず、人それぞれ、いろんな読みかたができると思います。アートを見る時と同じように。

ちなみに本書は現時点、電子書籍の設定はないようです。紙の本のみ。中身はもちろん、思わずなでなでしたくなるカバーの感触や、これまたカバーの、裏にどん!と描かれた仕掛けが楽しめます。カラー写真もたっぷり。ぜひともお手にとって、味わってほしい一冊です。

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